気まぐれな商売人が平穏に暮らす庵…涼風庵の宣伝もある。
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雷鳴が轟く山 ~その1~
2008-11-05 Wed 00:52

田んぼに囲まれた田舎道。
馬がすれ違うのにも難儀しそうな狭い道。
稲の刈り入れを終えた田を眺めながら道を進むは、勿論この人。
アズマ・シンボリ………まぁ、オレなんスがね。
馬上にて片足組んでゆったりしてます。
別に先を急ぐ訳でもなく、愛馬ジュゼッペはのんびりと進む。
「あの頃と何も変わってねぇな…」
とある国の、名前も知られてないような田舎…。
そう、オレの生まれ故郷。
久しぶりに行く事になった訳だが…
もう、『帰る』とか『戻る』じゃないんだな…
と、何やら感慨深げになる訳です。


それは一通の手紙から始まった。

「手紙が届いてますよ」
ここ最近、いつも以上にダラダラしている店主に番頭さんが告げ、渋々ながら店主は起き上がる。
「誰から?」
「えっと、女性のようですね」
すんごい勢いで手紙をひったくる店主。
即座に開封。
手紙を読み始める店主を呆れた顔で眺めながら、番頭さんが疑問を口にする。
「差出人の方…どこかで聞いたことのある名前なんですが…」
番頭さんの声も聞こえないほど集中して手紙を読む店主。
美人からの手紙だと信じて疑わないのは純粋なのでしょう。
しかし…
手紙を持つ手がプルプルと震えはじめます。
顔色が悪くなったのは気のせいじゃありません。
「店番しといてくれ…」
どことなくテンション低めの店主は旅支度を始め…
「いつもの事ですから構いませんが」
投げ出された手紙を拾い読み始める番頭さん。

『拝啓 実りの秋を迎え、益々ご健勝のことと存じ上げます。

 あなたが村を出て行ってから連絡も無く心配していますが、いかがお過ごしでしょうか。
 私は近所の子供たちに剣術を教える毎日です。

 さて、私が継いだ流派の事ですが跡継ぎも無く、このままでは代々続いた技を伝える事も出来ません。
 そこで家を出たあなたに戻って頂けないかと考えています。
 かねてより、この事態を想定し家伝の刀を預けていましたよね。
 まさか今更、断るとは思いませんが。
 その時には私にも覚悟があります。
 即座に帰郷されますように。

 ここ数日、寒さが厳しくなっておりますのでお体には充分にお気をつけくださいませ。
                                            敬具』

慌てて出かける店主の姿を眺めながら番頭さんは思い出していた。
「ウチの伯母さん、すんごい恐いんだぞ(涙」
以前、店主が言ってたのを…

「それよりも…」
差出人の名前を見て、なんともいえない顔をする番頭さん。
そこには『キョウコ・シンボリ』と書かれていた。

「………実在する方だったんですね」


                                その2に続く

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